リディア・シャッフェンの矢はず

リディア・シャッフェンが弟子たちに話した道具に関する教え。読むことができます。
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リディア・シャッフェンの矢はず

これは星の塔で起こった出来事だと伝えられている。 ある日、リディア・シャッフェンの弟子の間で論争が起こった。 何人かの弟子が訓練後に集まって雑談をする中でこんな話が出たという。 「いくら良い弓でも使う者の実力がなければ威力は出せない。結局のところ、重要なのは己の実力ということだ。」 ある弟子のこのような主張に他の弟子が反論した。

「君はアーチャーの基本を忘れている。アーチャーとは何か?アーチャーは弓という道具を使う者だ。弓のないアーチャーが存在すると思うか?いくら武芸に優れていても、剣や槍で武芸を披露する者をアーチャーと呼べるか?つまり、アーチャーとは道具に従属した概念なのだ。」

すると彼と見解の異なる弟子が再び反論した。 「君の言う通り道具が重要、と仮定しよう。 では一体弓の範囲とはどの程度を指しているのだ?ボウガンのように比較的人の実力差が出ない武器とポイズンシューターの武器のように実力に大きく左右される武器がある。アーチャーの武器の範囲にも多様性が存在するのだ。 ポイズンシューターの風矢はマスターするのが難しい弓で、いくら良い材質で作っても経験のない者はまともに扱えない。」

「だからと言ってボウガンやクロスボウが誰でも使える武器かというと、そういうわけでもない。 君の主張通り、道具があってこそアーチャーが存在するというのは、そういった点で誤った主張なのだよ。」

「これはまるで『人は食べなければ死ぬから、人の命は食べ物よりも下で、人生は食べ物に従属している』という主張と変わらない。 君は生きるために食べるのだろう?食べるために生きていると主張したいのか?」 すると別の弟子がこれに対して異なる見解を示した。 「君たちはアーチャーの道を論ずるに当たって一つの側面しか見ていない。 君たちが見落としていることは、どんな弓の名手でも優れた射手でも、彼らが利用するのは風だ、という事実だよ。」

「弓が放つ矢や弾丸を受けて目標まで運んでくれる風や空気がなければ、弓の名手も優れた射手も存在しない。つまりアーチャーにとって重要なことは、風の息吹を感じその風の息吹に自身の意志をのせることなのさ。」

この後も弟子たちの論争は果てしなく続き、次々に面白い主張や理論が展開されたという。 そして彼らは師匠であるリディア・シャッフェンの考えが知りたくなった。 彼らはリディア・シャッフェンのもとへ集まり、これまで話し合ったことを告げて師匠の言葉を待った。

弟子たちがリディア・シャッフェンのもとを訪れた時、ちょうど彼女は矢じりの刃で栗を剥いて食べながら、星の塔の欄干に危なっかしく腰掛けていたという。

リディア・シャッフェンは栗を食べながら弟子たちの主張に耳を傾け、しばらく黙った。そして指で栗の皮の山をいじった後、その中から何かを取り出して次のように言った。 「これ、何だと思う?」 勘が鋭く視力の良い弟子がすぐに答えた。 「渋皮です。」

それは間違いなく渋皮だったので、他の弟子たちもうなずきながら師匠の次の言葉を待った。 するとリディア・シャッフェンが答えた。 「違う。これは私の矢はずだ。」

そう言ったリディア・シャッフェンは、栗から取れた渋皮を指の間に挟んだ後、いつも持ち歩いている弓に矢の先を当てて覆い、矢はずのようにして天に向かって放ったという。 弟子たちの論争を奇抜な方法で終わらせたリディア・シャッフェンは、腰掛けていた欄干から下りてぽかんとした弟子たちを残してその場を去ったと伝えられている。